1966年に静岡県知的障害者福祉協会(当時名:静岡県精神薄弱者愛護協会)が発足してから、「施設入所者作品展」「愛護まつり」などの呼び方で各部会で作品展を実施していました。その後、県内の会員施設から作品を一同に集めて作品展を開催しようということになりました。展示会名を命名するにあたり、利用者が創り上げた作品は、彼らが障がい者だということは関係なく彼らの表現した結果生まれた「作品」であるという考えから、「障がい者アート展」などという「障がい」をうたった展示会名にはしたくないと考えました。そこで当時の実行委員の1人が「固定資産としての展示場はないけれど、作品を集めて期間限定ではあるけれど、展示会を開くという意味で、ギャラリーと名付けてみたらどうか」と提案がありました。そして、ゆくゆくは、この作品展が成熟し、いつか本当の「ギャラリー」が持てるようにという希望も込めて、当時協会名の一部にあった「愛護」と「ギャラリー」を掛け合わせ「愛護ギャラリー展」と名付けられました。
1993年(平成5年)第1回愛護ギャラリー展が開催されました。当時の会長の八谷裕司氏の巻頭言には「作品の生まれる過程は、機能訓練の一環として制作されたもの、治療教育的な目的をもったもの、本人の趣味として制作されたもの等さまざまなものです。(途中省略)これまでの努力の積み重ねは、年とともに作品の質、内容が向上し素晴らしいものが生まれてくるようになった」とあります。
どんなに重い障がいを持った人でも表現をすることはできますが、それには、指導が必要です。愛護ギャラリー展には、指導された絵を飾ろうということになり、1981年(昭和56年)職員研修所講座「絵画療法講座」が始まりました。こうして、職員と利用者が一体となって作り上げる作品展へと発展していったのです。
静岡県知的障害者福祉協会は、一握りの天才を発掘することではなく、全ての利用者さんの生活を向上するためにあります。最初は、鉛筆さえも持つことさえ出来なかった人が、次第に目線と鉛筆の筆先が合うようになり、10年にわたって指導を受けた結果、すばらしい絵が描けるようになったという例も多くあります。
こうして、一部の天才ばかりに目を向けることなく、利用者さんの表現を守り、底上げするためにこれまで30回もの展示会を開催してきました。
そして、このような職員の熱意と利用者の努力の軌跡には、毎年審査員や展示会に訪れる観覧者の感動を呼んできました。
会長 | 池谷 修(沼津のぞみの里施設長) |
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実行委員長(担当理事) | 飯塚 友紀(サポートセンターコンパス北斗) |
事務局長 | 青野 剛明 |
実行委員 | 佐藤 淳 沼津のぞみの里 |
知的障害児者施設等における日頃の文化・芸術活動の成果を広く公表し、障害児者や施設に対する県民の理解と支援を促し、併せて施設利用者等の意欲と施設職員の士気の高揚を図るため、知的障害児者の絵画等の展示会を開催します。
本年度は、第30回を記念して、特別賞「実行委員会賞」を設けました。
なお、昨年度作成したHPからアーカイブ化して、今後も全世界の人に作品を見てもらうらえることを願っています。
今年度は、グランシップの展示ギャラリーで一般公開できたこともあり、本HPには受賞作品のみの掲載になります。